遺言相続

受任者が遺言業務をする上で最も大事な心得とは?

結論から言うと、遺言者に遺言を残したことを後悔させないこと。そして事務的な言い方になるが、遺言は遺言者の死後遺言の内容を速やかに実現することであり、それがとりもなおさず遺言者のためになるという信念をもって臨むことだと思います。

まず何から始めるのか?

遺言には普通方式(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)と特別方式(危急時遺言、隔絶時遺言)があるが、ここでは特に遺言者の満足度が高い公正証書遺言について述べたい。尚、念のため言っておくと、15歳に達した者、遺言する時において能力を有する者が遺言をすることができる。

遺言はまず次の業務から始める。

  • 相談業務
  • 遺言書の文案
  • 相続関係説明図
  • 財産目録
  • 相続関係説明図、財産目録を作成するには遺言者の生まれてから現在までの戸籍謄本等、不動産の履歴事項全部証明書等の取得など。他に100万円以上の動産が有れば列記する。

公正証書遺言の作成について

相続人や受遺者に何をどれだけ相続や遺贈をするか、遺言者から聞き取りした内容と収集した資料をもとに文案を作成します。遺言者は内容を確認して自書するのは自分の名前だけになります。

  • 祭祀主催者の指定
  • 予備的な遺言(逆縁対策になりすぎないように)
  • 遺言執行者の権利義務(予備的執行者も決めておく)
  • 遺言執行者に貸金庫の開閉を明示する
  • 遺言執行の妨害行為の禁止
  • 特定財産に関する遺言の執行
  • 付言

相続人に言わせると、公正証書の遺言書の利用度は相当のものと喜ばれる。例えば凍結された銀行口座の手続き。公正証書の遺言書があるだけで手続きが簡便にできる。

   遺言書がない場合   遺言書がある場合
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本遺言者の死亡を確認できる戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本遺言書
遺残分割協議書銀行所定の届出書
銀行所定の届出書遺言執行者の印鑑証明
相続人全員の印鑑登録証明書 
預金通帳等 

但し、手続きに必要な書類は各金融機関により異なる。

ところで、遺言書通りに相続しなければならない?!
遺言書通りに遺産相続しなくてもいい場合はあります。(勿論、遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿したすれば、相続欠格事由となり相続人となる資格は失われます。民法891条)
遺言書通りに遺産相続しなくてもいい場合とは
 ・相続人全員の同意
 ・相続人以外の第三者である受遺者の同意
 ・相続人以外の遺言執行者の同意
以上の同意を得られれば、遺言書の通り遺産相続しなくてもよい。但し、上記の同意はかなり難易度が高くできないことがほとんどと思います。
仮に出来たなら、遺言執行者は裁判所へ遺言執行者辞任の許可を申し立てる必要あり。許可を得た後、相続人が遺言書を無視した遺産分割協議を行うことになる。

 

相続の手続き

相続とは
 相続とは、ある人が亡くなったとき、その人が所有している財産を配偶者や子供など特定の人が引く継ぐことを言います。
 被相続人・・・亡くなった人のこと
 相続人・・・財産を引き継ぐ人のこと
相続三つのパターン
 法定相続・・・民法で定められた人が決められた割合で引き継ぐ
 遺言による相続・・・被相続人が書いた遺言書の通りに引き継ぐ
 分割協議による相続・・・相続人全員が話し合って遺産をどう分割するか決めること

相続業務
 士業ごとに、できることとできないことがあり注意が必要です。(業際には要注意です
     他士業との協力や同業者のアドバイザーなどそんな関係を持てれば理想でしょう。

 弁護士司法書士税理士行政書士
金融機関での相続手続き
相続人同士の紛争解決×××
遺産分割協議書の作成
遺言書の作成
相続放棄××
相続人調査・相続財産調査
不動産の相続登記(名義変更)×××
相続税申告×××

まず、ご依頼者様の心のケアが何より大事でしょう。かといって事務的手続きも必要です。被相続人の出生からから死亡までの戸籍謄本を取得して、あるいは取得させて、相続人を確定させるために相続関係説明図を作成していきます。そして財産の調査、目録等を作成していきます・・・。

財産の相続には、預貯金の払戻から土地建物の名義変更、相続税の問題、遺産分割協議書の作成など多くの手続きが必要です。行政書士は他士業の方々と協力して相続に関する様々なご依頼者様の困りごとに真摯に向き合います。