いきなりですが、身分系在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)はよくお宝と言われることがある。それはどうしてか?まず一番の理由は就労制限がないことだろう。いくらでも働きたい外国人にとってこのことはとても大きい。そして何より最強の在留資格である「永住者」への要件が甘くなっていることである。「永住者」への要件年数は「高度専門職」は別にして、一般の在留資格では居住年数が10年ですが、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等で3年、そして定住者では5年となっている。これがお宝と言われる理由だろう。しかし永住者の在留資格を取得するのは容易ではない。それでは身分系在留資格について、順にみていくことにします。
◇永住者
法務大臣が永住を認めるもの
永住者の在留資格をもって在留する外国人は、現状では在留資格全体の中で占める割合は約25%。活動に制限がなく、在留期間の制限もない。いわば永住許可にかかる審査は外国人の在留に関する最終の審査になる。しかし、注意は必要である。永住者も当然のこと在留資格の取り消しの対象であり、退去強制事由に該当すれば、退去させられることもある。(また、永住者とは別に特別永住者というのがある。これにについてはこちら)
要件
居住要件(国益要件)
引き続き10年以上日本に在住している。
就労系ビザの在留資格で5年以上働く。(技能実習、特定技能1号除く)
(なお、一回の出国で90日以上、一年間で180日以上の出国でリセット)
在留資格の在留期間が3年以上
素行善良要件
住民税、社会保険料、年金などを期限通り納めていること。
所得税等の国税の未納がないこと。
交通違反はしないこと。犯罪歴がないこと。
過去の在留状況が不良がないこと。
独立生計要件
収入が300万円以上が目安で、一人の扶養ごとに20~30万円プラス。
<原則10年在留に関する特例>
日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った夫婦生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること。
定住者の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。
高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合、70点以上有している者として点数を維持して3年以上 継続して本邦に在留していること。同じく80点以上を有している者として点数を維持して1年以上継続して本邦に在留していること。(日本版グリーンカード)
注意として
オンライン申請はできない
永住申請中に現在持っている在留資格の更新はしなければならない
許可者には在留カード永住者がもらえるが、7年で更新。1年以上海外滞在すると戻れなくなる
◇日本人の配偶者等
要件/日本人の配偶者、日本人の特別養子又は日本人の子として出生したものを受け入れるために設けられたもの。まず日本人の配偶者とは日本人と法的に有効な結婚をしている外国人をいう。よって内縁の関係は不可です。子供がいても法的に有効な結婚でなければダメ。
・日本人の子として出生した者。(日本人の実子)
認知された非嫡出子も含まれる。
出生の時、父または母が外国籍で、出生後帰化した場合は「定住者で告示6号イ」に該当する。
出生時点で日本国籍だった父又は母が、出生後に他国へ帰化(国籍離脱)した場合も該当する。
・日本人の特別養子。(普通養子は含まれない)
さて先に記した法的に有効な結婚とは、民法にもある通り「互いに協力し、扶助しあって社会通念上の共同生活を営むという婚姻の実態を伴うこと」。また、日本人の配偶者の戸籍謄本に婚姻事実が記載されていることは重要。
注意点/以下については更新、変更時問題になる。
- 別居状態
- 言語力不足
- 出会いや婚姻の経緯が不自然
- 結婚、離婚を繰り返している(旦那チェンジ)
- 年齢差が大きい(15歳以上)
- 収入面で結婚生活が不安定
- 過去の申請歴との齟齬
- 納税等の不履行
◇永住者の配偶者等
定義/永住者の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者
①永住者等の配偶者の身分を有する者
②永住者等のことして日本で出生し、出生後引き続き日本に在留する者
③特別永住者の子として日本で出生し、出生後引き続き日本に在留する者
永住者といえど7年に一度の在留カードの更新は必要です。但し審査はありません。
違法を犯せば取り消し及び退去強制もありうる点に注意が必要です。
◇定住者
定義/法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者
告示で定められているもの告示定住、定められていないもの告示外定住あり。
告示定住
- 1.タイ国内において一時的に庇護されているミャンマー難民
- 2.削除
- 3.日本人の子として出生した者の実子
- 4.日本人のことして出生した者で元日本国籍者の実子の実子
- 5.日本人の子の配偶者 定住者の配偶者
- 6.日本人、永住者、日本人の配偶者、定住者の未成年、未婚の実子
告示外定住
日本人と離婚後も引き続き日本に居住することを希望する外国人。(入管の裁量幅が広い)
実子扶養定住
離婚定住
死別定住
いずれも告示外定住。
特別な理由
定住者の在留資格取得には特別な理由が必要です。要件に該当するかあらゆる角度から審査されます。証拠書類、根拠ある説明が丁寧にできるかが大事です。