こんにちは。行政書士の髙橋です。
普段は「やさしい日本語」を心掛けながら、帰化や永住、ビザの手続きを通じて、地域で暮らす外国人のみなさんをサポートできればと思っています。また、監理団体の外部監査人候補としての監理責任者等の資格(証明書)を持ち、外国人雇用の法務サポートにも取り組んでいきます。
来年(2027年)春から、いよいよ「育成就労制度」がスタートします。
移行期にあたる今、監理団体や受入企業の社長様にお伝えしたい「超重要ポイント」を、今回から全3回の連載形式でお伝えしたいと思います。
- 第1回(今回):外国人の「生身の本音(お金・人間・住まい)」を知る
- 第2回:3月末「駆け込み申請」は危険。なぜ実務上のデッドラインは1〜2月なのか?
- 第3回:外部監査人が提言する、今すぐ始めるべき「選ばれる企業」への処方箋
入管のホームページをなぞるだけでなく、現場を見据える実務家としての「現実」を込めました。ぜひ最後までお付き合いください。
法律の文字からは見えてこない「彼らの本当の頭の中」
入管のホームページを開けば、新しい法律の枠組みや手続きの変更点がたくさん書かれています。もちろん、私たち専門家にとっては重要な情報であることに違いはないです。
しかし、その受け取り方や解釈により、就労希望の外国人の方の底にある「生身の、ちょっとドロドロした本音」に先回りして対応できない監理団体様や企業様は、これからの育成就労時代、確実に外国人に選ばれなくなると思います。
彼らが一番最初にスマホで検索する「生々しい疑問」
彼らが母国で送り出し機関に応募するとき、あるいは日本行きが決まりそうなとき、スマホの検索窓に最初に入力する言葉は、制度の名前ではありません。もっと現実的な疑問です。
① 「求人票の給料から、結局いくら引かれるの?」
彼らが海外で働きたい根本の理由は、例えば、「家族の生活を良くしたい」「将来お店を開く資金を貯めたい」などという強い目的です。だからこそ、お金に最も敏感です。
「基本給20万円」と書かれていても、彼らはそれを信じていません。「そこから税金、保険、家賃、光熱費でいくら引かれて、最終的にいくら手元に残るのか、そしていくら仕送りできるのか」という【現実】を、正確に知りたいと調べています。外国人、企業様双方の正確な情報の発信、入手が不可欠です。
② 「いじめられない?人間として扱ってくれる?」
過去の技能実習制度の中で、残念ながら一部の心ない企業による暴言や差別が、SNSを通じて海外にも拡散されてしまいました。
若者たちが心配しているのは、仕事の厳しさそのものではありません。「言葉が通じないのをいいことに、怒鳴られたり、孤立させられたりしないか」という、【現実の職場の人間関係】です。
③ 「どんな部屋に押し込められるんだろう…」
「家賃は安いけれど、一部屋に4人も5人も詰め込まれてプライベートが全くないのではないか」と。これから数年間を過ごす場所ですから、部屋の広さやWi-Fiの有無、近くにスーパーがあるかといった【生活環境】を、彼らは何より知りたがっています。
傷つけずに、先回りして「安心」をオープンにする
こうした心配事を抱える彼らに対して、「募集要項に書いてあるから読めばわかる」、「来てから教える」という姿勢でいると、優秀な人材ほど集まらなくなってしまうのではないでしょうか。
彼らのプライドや心情を傷つけずに、信頼を得るためには、こちらから先回りして情報を開示することが不可欠です。
- 実際の給与明細のサンプルを見せて、引かれるお金の内訳を「やさしい言葉」で説明する。
- 実際に住む予定の部屋の写真や、周辺の様子を隠さず見せる。
- 例えとして、「失敗したときはこうやって教えるよ」、「困ったときは母国語で相談できる窓口があるよ」というサポート体制を形にして伝える。
彼らを単なる「労働力」ではなく、未来を持った「一人の人間」としてリスペクトし、その不安や心配事に寄り添う姿勢を真に見せること。これこそが、育成就労時代を生き抜く監理団体様、企業様の一歩になると思います。
「選ばれる環境」になっているか、点検を始めましょう
行政への育成就労制度への思惑はどうであれ、
育成就労制度への移行は、単なる「書類の切り替え」ではありません。
「外国人に選ばれなければ、会社、ひいては日本が生き残れない時代」への大転換ではないか、とすら思える。
法律のルールを守るコンプライアンスは大前提。その上で、「彼らの生身の不安を受け止められる体制になっているか」を今から総点検していく必要があります。
「うちの今の体制で、育成就労になっても外国人は残ってくれるだろうか?」
「具体的にどんな情報開示から始めればいいのかわからない」
そんな不安をお持ちの監理団体様、企業様。外部監査人候補の視点から、書類のチェックにとどまらず、「選ばれるための環境づくり」を一緒に考え、サポートいたします。
次回(第2回)のブログでは、「2027年3月31日までの駆け込み申請なら大丈夫」という建前に潜む、実務上の厳しいタイムリミットの落とし穴について詳しくお話しします。
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この記事の監修者 行政書士 髙橋 一夫
2026-8-10
