先日、行政書士会の入管WGの研修会にでてきました。研修会の中身で一番に感じたことは何か。それは昨今耳にする、就労目的で日本に来る外国人が日本を避けるようになってきた実態についてです。
ネガティブな話になりますが、それでもそれは書かなければならないことだろうと考えます。
日本が外国人から「選ばれない国(魅力的な労働市場ではなくなった)」になりつつあるのはまさに事実です。
統計上、全体の外国人労働者数は過去最多(257万人超-2025-10-)を更新していますが、中身を見ると「かつて主力だった国(ベトナムなど)の伸び悩み」や、アンケートでの「日本で働きたくない理由の急増」など、明らかな変化がデータに表れています。
1.歴史的な「円安」と「賃金の安さ」(最重要要因)
- データ: マイナビグローバルによる外国人への意識調査において、日本で働きたくない理由のトップは「円安(35.5%)」、次いで「給料が低い(26.3%)」でした。
- 事情: アジアからの出稼ぎ労働者の多くは、母国の家族への「海外送金」が目的です。円安のせいで、日本でいくら働いても母国通貨に換算したときの仕送り額が目減りしてしまい、「日本で働くメリットがない」と判断されています。
2. 送り出し国の「経済成長」と「他国との獲得競争」
- データ: かつて日本の外国人労働者の最大勢力だったベトナム人の増加率は、2019年時点の半分近く(約10%)まで鈍化しています。
- 事情: ベトナムなど現地の経済が豊かになり、国内の給与水準が上がったため、わざわざリスクを冒して日本へ行く必要性が薄れました。また、後述する韓国や欧米など「日本より圧倒的に稼げる国」へ人材が流れています。
3.政府の遅すぎる政策転換(旧・技能実習制度の悪評)
- データ: 低賃金や転職制限、高額な借金を背負わせる構造が国際的な人権侵害として批判され続け、政府は2027年に向けてようやく「育成就労制度」への移行を決めました。
- 事情: 「実質的な単純労働なのに研修目的と言い張る」という長年のごまかし政策(政治的怠慢)が、SNSを通じて海外現地で「日本は奴隷のように働かされる、割に合わない国」という悪い口コミとして定着してしまいました。
4.災害リスクと気候変動(寒暖差)
- データ・事情: 際立った統計データまではありませんが、近年多発する大地震への恐怖や、海外でも報道される「日本の命に関わる酷暑」は、東南アジア諸国の人々にとっても「住みにくい環境」として敬遠される心理的ノイズになっています。
競合する「他国の魅力的な政策」との比較
日本が買い手市場の感覚を捨てきれない間に、周辺国や欧米は「高い給与」と「手厚い定住支援」で優秀な人材を奪い取っています。
| 国名 | 魅力的な政策と事情 | 日本との違い |
|---|---|---|
| 韓国 | 政府主導の「雇用許可制」の枠をコロナ前の2.3倍に急拡大。宿泊や飲食業へも対象を広げている。 | 最低賃金が日本より高く、法定手当も手厚い。 官民を挙げたK-POPなどの文化力も手伝い、アジア若年層の一番人気に。 |
| 台湾 | 語学研修や技能訓練を受けるだけで、ハードル低く入国・就労できる職種を用意。 | 日本のような複雑な在留資格の手続きがなく、「入国のハードルが非常に低い」。全体の賃金も上昇中。 |
| 欧米・豪 | 最低賃金が時給2,000円〜3,000円以上(日本の2〜3倍)。一定期間働けば永住権(グリーンカード)が得やすいルートを用意。 | 日本は「特定技能2号」を除き、家族の帯同や永住が厳しく制限されるため、「一生住む国」として選ばれない。 |
これからの日本はどうなる?
現在の日本は、ベトナムに代わって「まだ日本との賃金格差が大きい」インドネシア、ミャンマー、ネパールからの労働者に頼ることで、なんとか人数を保っています。しかし、これら諸国の経済が発展すれば、数年後にはどうでしょうか。今のままなら必ずさらなる「日本離れ」が起きるでしょう。
(どうした「クールジャパン」。日本のアニメはK-POPに引けを取らないはず、と言いたい!)
「労働力」を、真の共生できる一個の個人として外国人を扱う政治姿勢を示さなければ、また「日本人と同等以上の高い賃金を払う」「家族と一緒に定住できる環境を整える」という根本的な政策転換をしない限り、日本の労働市場の地盤沈下は止まらないだろうと思う。
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この記事の監修者 行政書士 髙橋 一夫
2026-9-2

