読者のみなさん、こんにちは。行政書士の髙橋です。
今日は、コーヒーでも飲みながら、ちょっとした大人の雑学として読んでいただきたいお話です。
相続、と聞くと、多くの人は一生に一度か二度あるかないかの大仕事をイメージすると思います。
でも、人生のタイミングは時として、教科書のような順番通りにはいかないことがあります。
もしも、お父さんが亡くなって、その遺産をどう分けるか話し合っている最中に、今度はお母さんまで亡くなってしまったら……
不謹慎かもしれませんが、実はこれ、私たち行政書士の実務の世界では決して珍しいことではありません。法律の世界では、これを数次相続(すうじそうぞく)と呼びます。
今回は、この相続の連鎖が起きたときに待ち受ける、ちょっと意外な裏話を…‥
話し合いの途中でメンバーが変わる?
お父さんが亡くなったとき、遺産を分ける話し合いとして遺産分割協議に参加するのは、普通なら、お母さんと子どもたちです。
しかし、その話し合いがまとまる前にお母さんが亡くなると、お母さんが持っていたお父さんの遺産を分ける話し合いに参加する権利が、そのままお母さんの相続人に引き継がれます。
えっ? 子どもである自分たちが引き継ぐんだから、メンバーは変わらないんじゃないの?
そう思った方、鋭いです!
同じメンバーで済むなら、実はそれほど難しくありません。本当にややこしくなるのは、ここで予想外のメンバーが登場するケースです。
例えば、お母さんに前夫との間の子(あなたにとっての異母きょうだい)がいた場合。
あるいは、お父さんのあとに子ども(あなたの兄弟)が独身のまま続けて亡くなってしまい、普段まったく付き合いのない叔父さんや叔母さんが登場する場合。
お父さんの遺産をどう分けるかという話し合いに、ある日突然、これまで関係のなかった親戚が加わることになるのです。
時間が経つほど雪だるま式に大変になる理由
なんだかややこしそうだから、落ち着くまで数年くらい放っておこう……
お気持ちはとてもよく分かるのですが、実はこれが一番注意したいポイントです。
手続きを後回しにしている間に、さらに次の相続が発生すると、関係する相続人の数は雪だるま式に増えていってしまいます。
最初は家族3人だけで済むはずだった話し合いが、5年、10年と放置した結果、気づけば全国に散らばる、会ったこともない20人以上のハンコが必要になっていたなんてケースも本当にあります。こうなると、もう自力で連絡を取ることは困難です。
今日は仲間内でたまたま話題に出たことを、コーヒーブレイク。
- 遺産分割の途中で次の相続が起きると、話し合いのメンバーがガラリと変わることがある。
- 後回しにすればするほど、関係する親戚が増えて解決が難しくなる。
いかがですか。
数次相続なんて難しい言葉は覚える必要はありません。手続きを止めちゃうと、後から人が増えて大変なんだな、ということだけ、頭の片隅に置いていただければ幸いです。
もし、「そういえば、何年も前に亡くなったおじいちゃん名義の土地、まだそのままだったかも……」と思い当たる節があれば、それは難易度が上がる前の「今」が解決のチャンスです。
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【当記事のリーガル・ノート(注釈)】
本コラムでご紹介した現象は、民法上の「数次相続(すうじそうぞく)」(状況により再転相続)に該当します。
日本の民法では、人が死亡した瞬間にその財産や権利義務が相続人に包括承継されると定められています(民法第896条)。最初の相続(第一次相続)の遺産分割が終わる前に、相続人の一人が死亡して次の相続(第二次相続)が開始した場合、死亡した相続人が持っていた「遺産分割に協議・参加する権利(不確定の共有持分権)」も、さらにその次の相続人へと引き継がれるため、話し合いの当事者が変動・拡大することになります。
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この記事の監修者 行政書士 髙橋 一夫
2026-7-20

